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issue: 190
title: 本気の女性リーダー育成
subtitle: なぜ増えない? 社会と企業の課題
date: 2025-06
pages: 58
source: raw/w_190.txt
tags: [女性リーダー, ジェンダー, 男女雇用機会均等法, DEI, マミートラック, ホモソーシャル, クオータ制, 賃金格差, 管理職, 役員, 均等法40周年]
type: issue_card
特集の位置づけ
男女雇用機会均等法制定40周年を契機とした女性リーダー育成特集。本誌編集=入倉由理子。トランプ政権の反DEI波及への対抗姿勢が貫き、上野千鶴子×浜田敬子巻頭対談で「均等法はなぜ『平等』をもたらせなかったのか」を根源的に検証。創刊30周年特集の前哨戦的な号で、浜田編集長期の集大成の一つ。
中心的主張
- 均等法は「実効性がないように作られた」 — 経営者側委員がTV取材で明言、コース別人事制度は均等法を無傷で乗り切るための工夫(上野千鶴子)
- ホモソーシャルな組織文化の維持が経済合理性より優先された — 「どんぐりの背比べ」競争のノウハウしか持たない人事管理
- 女性管理職が昇進を阻む最大要因は「管理職の長時間労働」 — 短時間勤務→マミートラック→戦力外→意欲低い人だけ残る
- マミートラック脱出に最も効いたのは「上司の後押し」 — 夫ではなく上司、フルタイム復帰の重要性(浜田調査)
- 女性の「賃上げ」こそ経済再生のカギ — 男女賃金格差解消は経済政策
- 女性社外取締役「バブル」を終わらせよ — 取締役会は経営根幹の議論を
主要記事リスト
巻頭対談 上野千鶴子×浜田敬子「均等法はなぜ『平等』をもたらせなかったのか」(pp.6-9)
- 均等法制定時「こんなものならないほうがマシ」と女性団体反対、「小さく生んで大きく育てよう」で成立
- 実効性のない法、罰則規定長らく無し
- 均等法1期生の定年まで勤務者データ無し(体感で3分の1以下)
- コース別人事制度=均等法を無傷で乗り切る工夫
- 男女SEの10年後の配置格差(保守点検 vs 新規プロジェクト)
- 女性の意欲を冷却したのは誰か — 長時間労働・ホモソーシャル文化・個別評価ノウハウ欠如
座談会「女性管理職を増やすには? 現役管理職たちの本音」(p.10)
Section 1 なぜ増えない? 社会と企業の課題(pp.13-21)
- 労働時間重視の昇進システムが子育てによる賃金格差を拡大
- 多様性を重視した女性活用は企業業績向上に
- なぜ男女賃金格差が生じるのか — 女性の「賃上げ」が経済再生のカギ
- 女性社外取締役「バブル」を終わらせよ、取締役会は経営根幹の議論を
- 民間主導で女性登用進んだイギリス
- 女性転職者の伸び顕著、管理職にも需要
TOPIC「トランプ政権の反DEIの深層」(p.22)
Section 2 期待し、育てる本気の事例(7社, pp.24-37)
- アサヒバイオサイクル(p.24-25): 働き方柔軟化×エンパワーメント二段構え
- 山陰合同銀行(p.26-27): 未経験の法人営業に女性再配置、自前リスキリング
- SCSK(p.28-29): 働き方改革と並行して女性リーダー育成、課長100人達成後は役員へ
- MUFG(p.30-31): 同質集団は衰退、経営陣が危機意識を共有
- 双日(p.32-33): 女性のキャリアを「早回し」、リーダーへのパイプライン
- 電通(p.34-35): トップと当事者が本気、1年で組織を変えた
- IBM(p.36-37): バイアスを排除する公平な評価と風土
TOPIC(pp.38-39)
- 女性へのバイアスはAIで払拭できるか
- 若い男性は「仕事優先」0%、格差拡大が要因か
まとめ(浜田敬子編集長)(p.40)
「変化がジリジリするほど遅い日本 — 『不断の努力』を続ける人たちの存在が希望に」
連載
- ローカルから始まる(浜田敬子) — Code for Japan代表理事 関治之氏
- 人事のアカデミア: ファッション
- Global View: From USA(Z世代のリセッション・プレップ), Nordic(フィンランド若手心理的壁と女性CEO), Policy World(教育でトップ・職場でストップ), Work Tech World(米国も女性経営者増えず、ボーイズクラブ)
- 人事は映画が教えてくれる — 『アナザーラウンド』(中年期の心理的柔軟性)
- 著者と読み直す — 『透析を止めた日』
登場する主要論者・組織
- 学界: 上野千鶴子(東大名誉教授、WAN理事長)
- 企業7社: アサヒバイオサイクル, 山陰合同銀行, SCSK, MUFG, 双日, 電通, IBM
- 聞き手: 浜田敬子編集長
他号との関係
- w_191巻頭対談と本号巻頭対談は対構造(30年経済史 vs 40年ジェンダー史)
- w_195インクルージョン: 船越多枝4象限の日本人女性総合職「同化」分析、笠原美智子の美術館ジェンダー論と直接連続
- w_192提言7(共働き・単身者尊重)と対
- 浜田編集長の重点テーマ: 浜田の前職書籍『男性中心企業の終焉』(w_195連載で紹介)の問題意識と直接連動
読みどころ
- pp.6-9 上野×浜田対談 — 40年を総括する最重要パート。「実効性がないように作ってもらった」証言
- p.7 女性関連法制度40年年表 — 85年均等法から24年育介法改正までの主要制度の俯瞰
- p.8 女性管理職比率経年推移グラフ — 係長14%→23.5%、課長7%→13%、部長7%→12%(2013-2023)
- p.16 男女賃金格差論 — 賃上げこそ経済再生のカギ
- pp.30-31 MUFG — 「同質的な集団は衰退する」経営陣の危機意識
- pp.34-35 電通 — 1年で組織を変えた速さ
- p.40 浜田まとめ — 「不断の努力」の希望
一行サマリ
均等法40周年を機に「なぜ女性リーダーが増えないのか」を上野千鶴子対談で根源的に検証し、ホモソーシャル文化・コース別人事・長時間労働の3重障壁を診断、7社事例で突破の具体形を示す号。トランプ反DEIバックラッシュへの明確な対抗姿勢。