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issue: 191
title: 「失われた30年」を検証する — 社会 働く 何が変わり何が変わらなかったのか
subtitle: 創刊30周年特集 Vol.1
date: 2025-08
pages: 58
source: raw/w_191.txt
tags: [失われた30年, 日本型雇用, 非正規雇用, 新時代の日本的経営, ジョブ型, メンバーシップ型, 希望格差, 能力主義, 収奪的システム, 創刊30周年, 富士通, サイボウズ, タイミー]
type: issue_card
特集の位置づけ
Works誌創刊30周年特集の第1弾(Vol.2=w_192 次の10年予測、本号はバブル崩壊からの30年回顧)。本誌編集=入倉由理子、編集長=浜田敬子。1995年の創刊=「失われた30年」の入り口、という編集テーマ設定で、日本型雇用の変動/非正規雇用の拡大/希望格差の固定化を河野龍太郎×大久保幸夫対談を基軸に検証する。w_192と対で読むべき創刊30年を二部構成で総括する歴史的特集。
中心的主張
- 日本は「収奪的システム」に陥った — 生産性3割向上にも実質賃金横ばい、内部留保優先、非正規拡大という「ダークサイドイノベーション」(河野龍太郎)
- 「雇用を守る」は一部に限られ、非正規は"身分"として固定化された(大久保幸夫)
- 日本型雇用の最大の特徴は「人材評価基準がないこと」(小熊英二) — 明治官制起源の資格等級制度が民間に、欧米「職務の平等」vs 日本「社員の平等」
- 3割の「大企業型」+「地元型」+「残余型」の二重構造(小熊英二) — 1980年代以降変わっていない
- 『新時代の「日本的経営」』(1995)は本来、雇用安定を守ろうとした — 雇用柔軟型が増えすぎたのは想定外(八代充史のオーラルヒストリー)
- アプリ(ジョブ型)とOS(メンバーシップ型) — 日本企業のジョブ型導入はアプリ変更、OS変更に至らず(濱口桂一郎の論)
主要記事リスト
巻頭対談 河野龍太郎(BNPパリバ)×大久保幸夫(リクルートワークス研)「『雇用を守る』という建前が人々を苦しめてきた30年」
- グローバリゼーション+IT革命で中間層賃金仕事消失、政策は後手
- メインバンク制瓦解→自己資本厚くする方向、ベースアップ凍結+非正規依存の「収奪的システム」
- 長期雇用の安定性は評価するが、幹部登用の遅さは課題
- 新卒一括採用自体は維持、ただし「一斉ゼロリセット」は非合理的
- イノベーションを作る人ではなく展開する人の育成を
年表で読み解く「雇用・働く・社会の30年」
- データで比較1995 vs 最新: 平均年齢39.6→48.4歳、非正規20.9→36.8%、女性就業率56.5→74.1%、名目GDP 2位→4位、1人当たりGDP OECD 3位→22位、IMD競争力4位→35位
- 語彙: 派遣切り、保育園落ちた日本死ね、ブラック企業、イクメン、マタハラ、人的資本経営、ジョブ型雇用
「日本型雇用」は変わったのか
- 小熊英二(慶應義塾大): 人材評価基準の欠如、欧米「職務の平等」vs 日本「社員の平等」、3割大企業型+地元型+残余型の二重構造
- 八代充史(労働経済学者): 『新時代の「日本的経営」』(1995)のオーラルヒストリー — 元は雇用安定が目的、雇用柔軟型が増えすぎたのは想定外
- 濱口桂一郎(推察): ジョブ型はアプリ、メンバーシップ型はOSという論法
- Interview サイボウズ青野慶久: 「楽しさ命」の少年が働き方を変えた、100人100通りのマッチング
「希望格差」は解消したのか
- 令和は格差「固定化」を懸念
- 勅使川原真衣 Interview: 能力主義への違和感、「凸凹の組み合わせ」による脱却
国際比較で見る日本の雇用の本質的課題
- 新卒一括採用は功罪半ば、制度改善を
- 遅れたIT投資と人材育成、デジタル化前提の組織改革を
「失われた30年」の本質
脱・日本型雇用への挑戦(3社)
- 富士通(p.30-32): 脱・年功組織まで試行錯誤の30年、ジョブ型・手挙げ徹底で構造変革
- サイバーエージェント(p.33-35): スペックから人間性重視へ、実力主義と長期雇用を両立
- 武田薬品工業(p.36-37): グローバル化の礎は価値観である「タケダイズム」、多様な社員をバリューが束ねる
Interview タイミー・小川嶺(p.38-39)
- 「労働者ファースト」の働き方目指し、「スキマバイト」で描く未来
まとめ(浜田敬子編集長)「どういう社会を選択しどういう変化を作っていくのか」
- 現実を見据え、未来の議論を始めよう(w_192への橋渡し)
連載
- ローカルから始まる(浜田敬子) — CNC代表取締役 矢田明子氏
- 人事のアカデミア第33講: 自律神経
- Global View: From USA(AIで削られる若者雇用), Nordic(北欧の育休代替要員), Policy World(失われた30年を振り返って), Work Tech World(減点主義の現場)
- 人事は映画が教えてくれる — 『関心領域』(複合的認知バイアスと視野狭窄)
- 著者と読み直す — 『潤日(ルンリィー)』
登場する主要論者・組織
- 経済学: 河野龍太郎(BNPパリバ), 八代充史(慶應), 小熊英二(慶應)
- 社会学: 勅使川原真衣
- リクルートワークス研: 大久保幸夫
- 企業人事: 富士通、サイバーエージェント、武田薬品工業(タケダイズム)
- 創業経営者Interview: 青野慶久(サイボウズ), 小川嶺(タイミー)
他号との関係
- w_192 との対: 創刊30周年二部構成(Vol.1 過去回顧 / Vol.2 未来予測)
- 大久保幸夫は本号対談に登場、w_194でも再登場(Will/Want論)
- 小熊英二の「社員の平等」vs「職務の平等」論は、w_194の池上重輔の「日本型経営エコシステム」論と強く響き合う
- 勅使川原の「能力主義への違和感」「凸凹の組み合わせ」は、w_194鈴木智之「同魂異才」、w_195船越多枝「多様性」と共鳴
- サイボウズ青野慶久は働き方多様化の象徴、本号の"主役"的人物
読みどころ
- 巻頭対談(pp.6-10) — 30年を2人の視点で俯瞰。「収奪的システム」と「ダークサイドイノベーション」は造語として強い
- pp.6-7 30年年表 — タイムライン形式で社会事件×語彙を一覧
- p.11 1995 vs 最新データ — 16指標の定量比較
- pp.12-13 小熊英二 — 「人材評価基準のない日本型雇用」論。「3割大企業型+地元型+残余型」の二重構造モデル
- pp.14-15 八代充史 — 『新時代の「日本的経営」』オーラルヒストリーから見える当時の日経連の本音
- pp.16-17 青野慶久Interview — サイボウズの「100人100通り」
- p.24 勅使川原真衣 — 「凸凹の組み合わせ」論
- pp.30-32 富士通 — 脱・年功のジョブ型・手挙げ徹底
- p.40 浜田編集長まとめ — 30年の総括とw_192への橋渡し
一行サマリ
創刊30周年Vol.1 過去回顧号 — バブル崩壊以降30年の日本型雇用は「人材評価基準なき社員の平等」(小熊)と「雇用を守るための非正規身分固定化」(大久保)によって収奪的システム(河野)となった、その歴史的診断を3社事例(富士通・サイバーエージェント・武田)と先駆者Interview(青野・小川)で補強する検証特集。