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issue: 193
title: 採用のジレンマ
subtitle: 採用市場10年の変化と、採用の来るべき未来
date: 2025-12
pages: 58
source: raw/w_193.txt
tags: [採用, 中途採用, エグゼクティブサーチ, オンボーディング, オフボーディング, リスキリング, キャリア採用, 生成AI, アトラクション, War for Talent, グローバル採用]
type: issue_card
特集の位置づけ
採用市場10年の変遷を踏まえ、日本企業が「選ぶ側から選ばれる側」へ立場を変えたことを出発点に、採用のジレンマ(母集団形成から出口まで)を解きほぐす号。本誌編集=入倉由理子。w_194(適材適所の葛藤)の一歩手前、企業の境界を越えてくる人材をどう迎えるかを扱う。Section 1=市場10年変化、Section 2=採用バリューチェーン全工程のジレンマと7社事例、Section 3=「採用の未来」(AI・多毛作化・アトラクション論) の3層。w_195/w_194と編集方針が連続し、2026年を貫く「個と組織の主権シフト」三部作の最初に位置する。
中心的主張
- 「選ぶ側」から「選ばれる側」へ — 企業主導の採用の前提が崩壊。主権は個人へ移動(War for Talent)
- 流動化は若手・正規雇用層で顕在化 — 35歳転職限界説は過去の話(津田郁)、正規→正規が一貫増加
- Closed型組織からOpen型組織へ — 内部完結型から外部接続型、境界の曖昧化と社内外の「浸透圧」均衡
- 「採用」ではなく「アトラクション」「才要」 — 人を集めるから、人が働きたい社会を作るへ(黒田真行、藤井薫)
- 採用とリスキリングは表裏一体 — AI時代、学び続ける力を評価。リスキリング可能な組織に優秀人材が集まる(後藤宗明、鎗水徹)
- オンボーディングとオフボーディング改革が採用を強くする — アルムナイ、個人と組織の双方のアンラーン
主要記事リスト
Section 1 採用市場10年の変化
- 坂本貴志(リクルートワークス研): 労働市場 — 転職率は4%台で停滞、20代離職率上昇、勤続年数短期化(45-49歳で17.5→14.9年)
- 津田郁・藤井薫(インディードリクルートパートナーズ): 求人市場 — 正社員から正社員の転職増、「35歳転職限界説」過去化、2022Q4以降転職希望15%超、DX/GX/SX人材
- 古田直裕(縄文アソシエイツ): エグゼクティブサーチ市場 — 「氷河期世代」の空白が経営人材不足に、権限の曖昧さで海外幹部が定着しない
- 藤井・津田: 採用勝者 — Closed型→Open型組織、浸透圧均衡
Section 2 採用のジレンマを乗り越える(7社+4専門家)
企業事例: アイリスオーヤマ(大山晃弘体制でチーム経営へ、データドリブンWS)、シスメックス(職種別採用+アルゴリズム配属マッチング)、オリンパス(人事機能のグローバル化、国境なき人事)、旭化成(全員参加のオンボーディング)、セールスフォース・ジャパン(社員起点配置)、
専門家: 小野善生(優れたリーダー採用には「軸」と「対話」)、森田純夫(高オファー報酬設計)、松尾睦(個人×組織のアンラーン両立)、石山恒貴(オフボーディングの重要性、アルムナイ)
Section 3 採用の来るべき未来
- 5つのキーワード(黒田真行・藤井薫): ①採用→アトラクション・才要 ②多毛作化(一社一役の終焉) ③採用の一強多弱(「人枯れ倒産」可能性) ④ユニフォーミズム→マルチフォーミズム ⑤雇用を創出する人材ビジネス
- AI対談: 後藤宗明(ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事)× 鎗水徹(阪大OUDX副室長) — リスキリング、学び続ける力、アプレンティスシップ
- TDK(アンドレアス・ケラーCHRO): グローバル人財本部のミュンヘン移転(2017)、人事リーダー46%女性、インクルーシブリーダーシップ、"How to embrace"
まとめ(佐々木貴子編集長)
- 採用のパラダイムシフト、選ばれる側の自覚
- "採用のバリューチェーン"全般に根底の考えを徹底する必要
- 成果企業の共通点: 採用すべき人材像の経営・現場レベルでの徹底共有、人事以外の活動への手数
連載
- ローカルから始まる(浜田敬子) — an代表・立教大客員教授 永谷亜矢子氏
- 人事のアカデミア第35講: ジブリの戦後
- Global View: From USA(シリコンバレー長時間労働), Nordic(フレキシキュリティと解雇リスク), Policy World(給付付き税額控除と英ユニバーサル・クレジット), Work Tech World(AIネイティブカンパニー)
- 人事は映画が教えてくれる — 『ラストマイル』(効率主義の徹底と人間疎外)
- 著者と読み直す — 『過疎ビジネス』
登場する主要論者・組織
- リクルートワークス研・IDRP: 坂本貴志, 津田郁, 藤井薫
- 学界: 松尾睦(アンラーニング), 石山恒貴(アルムナイ・オフボーディング)
- 実務・コンサル: 古田直裕(縄文アソシエイツ), 黒田真行(ルーセントドアーズ), 後藤宗明(ジャパン・リスキリング・イニシアチブ), 鎗水徹(阪大)
- 企業人事: 紺野聡(アイリスオーヤマ), シスメックス、オリンパス、旭化成、セールスフォース・ジャパン、アンドレアス・ケラー(TDK)
他号との関係
- w_194(適材適所の葛藤): 同一編集長体制、「個と組織の主権」「分権化」「経営と人事の乖離」論が連続
- w_195(経営とインクルージョン): TDKのケラー「インクルーシブリーダーシップ」「How to embrace」は w_195の野田智義/入山章栄の思考と直結
- 連載「ローカルから始まる。」「人事のアカデミア」「Global View」「人事は映画が教えてくれる」「著者と読み直す」は毎号継続の固定企画
読みどころ
- p.7-10 坂本・津田・藤井・古田 — 10年変化の定量データがまとまっている。アンダースペック/オーバースペック(w_194)と対比可能
- p.11 Closed→Open型組織図 — 7項目(採用・異動・育成・評価・賃金・昇進・退出)の対比が秀逸
- p.12-13 採用バリューチェーンマップ — 母集団形成→選考→オファー→入社・オンボーディング→活躍→出口の各段階のジレンマ
- p.32-34 5つのキーワード — 特に"多毛作化"と"マルチフォーミズム"は他号の横断テーマ化候補
- p.35-37 後藤×鎗水対談 — AI時代のリスキリング、「AI時代にリスキリングが現実的でない社員の退職を進める」(アクセンチュアCEO)
- p.38-39 TDKケラー — ミュンヘン本部、46%女性リーダー、"How to embrace"。日本企業グローバル化のモデル
一行サマリ
War for Talentの日本版 — 人手不足が正規雇用層の流動化を起こし、企業は「選ばれる側」になった現実を、Closed→Open型、採用→才要(アトラクション)、多毛作化/マルチフォーミズムで捉え直し、リスキリングと不可分な採用戦略を提示する号。