issue: 195 title: 経営とインクルージョン subtitle: 人的資本開示に見る日本企業のインクルージョンの現在地とこれから date: 2026-04 pages: 62 source: raw/w_195.txt tags: [インクルージョン, DE&I, ダイバーシティ, 心理的安全性, リーダーシップ, 人的資本経営, 価値創造, グローバル, 組織文化] type: issue_card

特集の位置づけ

2020年代前半にCSR/SDGs的な社会運動として日本に定着した「ダイバーシティ&インクルージョン」を、価値創造という経営の論理から再定義しようとする号。編集長・佐々木貴子の企画(本誌編集=入倉由理子)で、「同質性による結束」と「真のインクルージョン」の違いが貫通する問い。従来D&I特集は「女性管理職比率」等の数値論に傾きがちだった雑誌的風潮を、「インクルージョンは目的ではなく、イノベーションのための手段」という野田智義の論法で一段階引き上げる構成になっている。

前編集長・浜田敬子(2022-2025)から佐々木体制への交代後の号であり、連載「ローカルから始まる。」の聞き手は引き続き浜田。

中心的主張

  1. 経営におけるインクルージョンは「価値創造プロセスへの参加設計」 — 多様で時に異質な個が摩擦を経て質の高い判断に至るプロセスを意図的に組み込む手段(野田智義)
  2. 「遠心力(個の自律)」と「求心力(パーパス)」の同時設計 — どちらかに振れると分断か同質化になる
  3. 日本企業特有の罠=「同化をインクルージョンと誤認」 — 帰属感を高める力が強いがゆえに発生する(船越多枝、Shore et al. 2011の4象限フレーム)
  4. リーダーは「喋らない」「沈黙もできる」ことが条件 — ファシリテーター(蛍原徹型)への転換、心理的安全性=摩擦を歓迎する状態(入山章栄、野田稔)
  5. オーバーインクルージョンへの歯止め=企業の価値観(境界線) — 問題社員まで包摂する必要はない、基本レールから逸脱する行為には「違う」と言える体制が必須(大村剛史、まとめ)

主要記事リスト

Section 1 経営におけるインクルージョンとは何か

Section 2 インクルージョンが起動する組織へ 理念と実践

① 誤解と混乱に物申す: 差別解消の根源的視点/社内政治/マッチョイズム=弱さの否定(I×We2軸)/大村剛史弁護士(問題行動社員への対処、オーバーインクルージョン回避)/境界設計

Column① アート: 長野県立美術館 笠原美智子館長・青山由貴枝学芸員 — 「インクルージョンは"慣れ"ではなく"訓練"」

② インクルーシブリーダーシップ: - 野田稔(明治大): 集団凝集性と自律性のアウフヘーベン、心理的安全性の再定義(=ぬるま湯ではなく摩擦込み) - 入山章栄(早稲田BS): 『アメトーーク!』蛍原型ファシリテーション、多様な知の引き出し - 安部美佐子(フィリップス・ジャパン社長): ローカル・トゥ・ローカル、現地裁量委譲 - 沖一匡・梅澤慶太郎(やちよ総合診療クリニック): 医師によるCHO(Chief Happiness Officer)配置、『7つの習慣』起点の経営

Column② オフィス: ディー・サイン 長尾成浩社長 — 帰属意識とオフィス設計

③ 組織で起動させる: - 伊藤かつら(人事院人事官, 元日本マイクロソフトCLO): 変化をエネルギーに、科学的アプローチ - 阿渡健太(日揮パラレルテクノロジーズ社長): フルリモート/1人1業務/ノーワーク・ノーペイで精神・発達障がい当事者を高付加価値IT業務に - 鈴木千夏・島田健太(アフラック): 男性管理職ネットワーク「Diversity Allies」、多面観察テスト - 内山直之ほか(出光興産): 出光×昭和シェルPMIの「MIRAIキャンプ」対話1000人

まとめ 佐々木貴子(本誌編集長): 価値観と個性の両立、ハイコンテクスト文化と同質化、企業価値観の倫理

連載

登場する主要論者・組織

他号との関係

未ingest。以下は次号以降ingest時に要リンク:

読みどころ

一行サマリ

D&Iを「マイノリティ配慮の倫理」から「価値創造のための権限・責任設計」へ再定義する号。「同化=インクルージョン」という日本企業特有の誤認を船越4象限で可視化し、心理的安全性と境界設計の両方を要件化する。