issue: 192 title: 次の10年 雇用の未来を描く(構造要約) date: 2025-10 source: raw/w_192.txt card: ../issues/w_192.md type: issue_summary

創刊30周年特集第2弾。Section 1(5予測)→ Section 2(12提言+3ケース+Column)→ まとめの3層。5人の有識者(古屋星斗・井上智洋・山田久・矢田稚子・朱喜哲)と提言の論客群で構成される総合ビジョン号。

はじめに(編集長序文, pp.4-5)


Section 1 社会、組織、働く人々の次の10年(5予測)(pp.6-16)

予測1 労働力不足: 古屋星斗(リクルートワークス研)× 山田久(法政大)

「奇妙な人手不足」の3要因: 1. 雇用人員判断DI(2025年6月) = -35(全産業)/-45(非製造業)、バブル期水準 2. 高齢化: 医療・介護・物流・対人サービス需要増 3. 世帯数増: 1世帯あたり人数減(高齢者単身世帯+50万/年)、訪問・配送が1件単位化

2040年の予測(古屋試算): 不足1100万人、物流・介護・商品販売・建設で著しい不足

ホワイトカラー余剰 × エッセンシャルワーカー不足(山田): - 生成AIは知的作業代替中心、ヒューマノイドは10年では普及難 - ホワイトカラーのAI化で仕事スピードが上がると現場にしわ寄せ

処方: エッセンシャルワーカーの時間あたり収入改善が最優先(古屋)。「普通に働けば楽になる社会」。再分配見直し。

予測2 AIと自動化: 井上智洋(駒澤大)

朱喜哲の追加指摘: - 公共の担い手が国家から企業へ移行 — プラットフォーマーがプライバシーと権利の主体に - AIへの過度依存リスク(学生はChatGPTに親友より安心、看護介護のAI化) - 「他人に頼る能力を奪い、複数の依存先で自律する道を奪う」

予測3 格差と分断: 矢田稚子(元首相補佐官)× 山田久

男女間・地域間賃金格差: - 地方から都市部への女性流出加速、性別役割分業意識の残存 - 地元のロールモデル不在で女性が戻らない → 地方の未婚男性増・少子化 - 「若者や女性に選ばれる地方」プロジェクト公募に手を挙げた自治体68のみ

非正規処遇見直し: - 同一労働同一賃金、会計年度任用職員の常勤化、短時間正社員制度 - 最賃1500円(2020年代中): 東京都1163円 vs 秋田951円(200円差)、人材獲得困難企業は淘汰

デジタルがカギ: 地方中小のDX支援で女性のフルタイム以外の正社員化

スウェーデン・モデル(山田): 合理的整理解雇+労使協調リスキリング+労働移動円滑化、「職を守るのではなくキャリアを守る」

予測4 リスキリングと労働移動: 古屋・山田・井上

古屋の賃金格差論: ホワイトカラーとエッセンシャルワーカーの賃金差は情報の非対称性の問題 — 「実際に体験すると現場の仕事は頭を使う難しい仕事」

「アドバンスト・エッセンシャルワーカー(AEW)」(山田命名): - 海外: ホワイトカラー考える×ブルーカラー実行、日本: 現場が改善・品質管理(ブルーカラーのホワイトカラー化)を担ってきた - 現場にAI/ロボット導入しつつ、現場力を活かすAEWを新職能化 - 介護現場でロボット・デジタル技術導入・再設計する高度人材、賃金水準も高い - 「『意義のある仕事』『かっこいい仕事』という価値観を社会で共有する社会運動が必要」

制度的支援: - ドイツ・マイスター制度のような資格制度整備 - 政府・使用者団体・労組連携のスキルアップ - 賃金ファンド: エッセンシャルワークに公的ファンドから賃金上乗せ(欧州の所得補償モデル参考)、財源は税/寄付/法人税減免で大手から拠出

井上: 学びの楽しさ教育、主体的学習の重要性、近代化否定は不可

予測5 人々の働く意味・職場: 古屋・朱喜哲

古屋: 可処分時間を増やすことが幸福感・生活満足度につながる。汎用AI普及でも創造的活動への専念は現実になっていない、ブルシット・ジョブ増加

朱喜哲の哲学的考察: - AIによる著作権無断学習=スキルの簒奪、アメリカでこの流れは加速 - AIが19世紀の絵画を学習しても印象派・キュビズムは生まれない — ゼロから新しいものの創造性は人間固有 - 必要なのは倫理(エシックス) — 「何をしないか、何をやってはならないか」を定めるもの - 欧米では顔認証開発抑制(差別再生産のリスク) - AIはブラックボックス化、小さな違和感に気づける直感がヒヤリハットのゲートキーパー

人間の役割=ナラティブ: - 「これからの人間の役割とは、ナラティブ(物語)を紡ぐこと」 - 哲学の言葉がツールに。リチャード・ローティ「人類の会話を守ることが哲学の使命」 - SNSで誰とでもつながる時代に、親密な「会話(conversation)」(言葉を超えた、身体を持つ他者との場の共有)が失われた - インターネットの強く侵略的な言葉から繊細で弱い在来種の言葉をどう守るか - 直感を言語化することがビジネス価値の源泉


Section 2 次の10年を動かす12の提言(pp.17-39)

提言1 冨山和彦「AI時代に余る『漫然とホワイトカラー』を改革せよ」(pp.18-19)

Case 日本ガイシ(野崎正人 執行役員人材統括部長)「ジョブ型で未来志向の組織へ」(pp.19-20)

提言2 冨山和彦「地方の中堅中小企業にホワイトカラーの移転を促せ」(p.20)

Case ティ・ディ・シー(TDC, 赤羽優子社長)「技術と組織改革で世界に」(pp.21-22)

提言3 冨山和彦「エッセンシャル領域の教育の再設計を」(p.22)

Case 熊本県立八代工業高校(池田亨教頭、山下辰徳)「地域産業界とのネットワーク」(pp.23-24)

提言4 梅村将成×伊藤綾(NRHA)「医療・介護職の働き方と意識のアップデートを」(pp.24-25)

提言5 大湾秀雄(早稲田大)「自律的キャリア形成のために人事機能の『分権化』を」(pp.26-27)

5施策: 1. 職の標準化: 社内労働市場マッチング効率、市場価値可視化 2. タレントマネジメントシステム: 日本2-3割 vs 米8割の導入率 3. キャリアコンサルティング: 管理職がキャリアプランニングする力 4. 社内公募制度: 空きポジション補充の仕組み不可欠 5. リスキリング支援: 社外学習・自己啓発なし 日本50.6% vs 米9.5%、機会提供企業 日本18% vs 米48%

人事のプロフェッショナル化: ジェネラリスト養成から脱却、HRBP配属ルートの確立 人事部役割転換: 集権機能は残すが、事業部サポートのコーディネーター・調整役へ 経営資源配分は集権化: CXO制度で機能別・部門横断管掌

提言6 小室淑恵(ワーク・ライフバランス)「『長時間働ける』より『さまざまな人が働ける』社会へ」(pp.27-29)

Case 沼田土建(青柳剛社長、吉田美由紀、林直子)「女性DX推進で現場を変える」(pp.28-29)

提言7 高橋氏「増える共働きと単身者、『仕事以外』も尊重される職場を」(pp.30-31)

提言8 橋本氏「『壁』を撤廃し、すべての働き手に社会保険の適用を」(pp.32-33)

提言9 宮野氏「包括的な移民政策で外国人と真の共生を」(p.34)

提言10 「大学は『問い合う』場であれ」(pp.35-36)

提言11 「日本を停滞させてきた課題を克服し、競争力を取り戻せ」(pp.36-37)

提言12 「常時接続時代にこそ必要な『不確実性に耐える力』を」(pp.37-38)

Column 曹氏「『中産階級』として生きられない韓国の若者が感じる絶望の本質」(p.39)


まとめ 浜田敬子編集長「これからの10年を乗り切っていくために — 『企業が変われば、社会が変わる』を信じて」(p.40)


連載(ダイジェスト)


読解メモ