2020-04-05
  • データ主導の人材開発・組織開発

著作紹介

ここでは、代表の南雲が人事・組織コンサルティングの実務の合間に、折に触れて執筆した書籍等を紹介させていただきます。仕事のテーマを「データ主導の人材開発・組織開発」に集約する前に執筆したものが多いのですが、「人事・組織の何を測定すべきか」ということを論じている点で、互いに関係しあっています。


『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(日本経済新聞出版社)(2009/3)

データ主導の人材開発・組織開発にサービスを集約し始めた頃に、当時の(株)HRアドバンテージのメンバーでまとめた共著です。

360度フィードバックを導入したい、あるいは運用を進化させたい、という人事部門/人材開発部門向けの実用書ですが、次の3点で、単なるハウツー本とは一線を画するものになっています。

  1. フィードバックの受け手にとってどのような意義があるのか、そのために運用上どのような点に留意したらいいのか、ということを、ストーリー仕立ても交えて、丁寧にわかりやすく説明しています。
  2. これからの人材育成のあるべき姿と、そこにおいて360度フィードバックが果たす意義について、人材育成のイノベーションという見地から、野心的な議論を行っています。
  3. 著名企業の導入事例を、人事部門様への詳細なインタビューを含めて、紹介しています。それにより、360度フィードバックの人事運営・組織運営の中における位置づけを、具体的にイメージいただけます。

 


『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)(2007/10)

それまでの人事・組織コンサルティング経験の中で考えてきたことを集約した単著です。

IT化・グローバル化の中で、企業組織の境界がなくなっていく中での人事・組織マネジメントのあり方を描こうとしたものです。人材管理は機能の「レイヤー」別に多元化し、社員には自分の属するレイヤーの自覚とその線でのキャリア開発を促し、報酬構成要素等の制度要素はモジュール化して組み合わせるべし、ということを一つの結論としています。

「多元的ネットワーク」というのは、「資本関係のネットワーク」「取引関係のネットワーク」「技術のネットワーク」「地縁のネットワーク」「ブランド・シンボルのネットワーク」等、異なる次元のネットワークが重なり合う中に、我々の活動が位置している、ということを言おうとしているものです。

「会社」という実体が希薄になる中での我々の活動をとらえるために、「共通目的」「コミュニケーション」「協働意欲」の3つが存在するところに組織は存在する、という、組織論の始祖バーナードの理論を援用し、人事・組織マネジメントの論点を体系づけようとしています。

もう一つ、「会社」という枠組みにとらわれない活動の体系づけのために、「情報システム構築のメソドロジー論」を援用しています。(これは、著者が最初に社会に出て情報通信業界で働き始めた時に、社会システムとも言える大規模システム構築・運用のためには、全ての活動とその連関をシステマティックに定義する「メソドロジー」が必要である、ということが語られ始めており、それに強い影響を受けたことが関係しています。)

本書では議論のテーマを広げるだけ広げており、「データに基づく人材開発・組織開発」ということは一部分で示唆しているにすぎず、また10年以上前の本で絶版になっていますが、中古では入手できますし、今でもまだ有効な議論だと思いますので、紹介させていただくものです。

(図表を抜粋した動画)

 


『能力は現場で開発できる』(全21回)(日経ビジネスオンライン)(2007/12 – 2008/5)

日経ビジネスオンラインに連載した記事です。(日経ビジネスサイト内の掲載保存期間が終了しており、上記リンクは機能しません。ご希望の方には、お問い合わせをいただければPDFファイルで一式お送りいたします。

ビジネスモデルの転換に合わせて人材能力を転換させるための仕組みづくりのプロセスを、仮想の会社におけるストーリーとして展開したものです。

従来の「教育研修」にも「OJT」にも限界がある中で、「現場を能力開発の場に変える」ために、「求められる人材像」を、週単位で測定できるような成果と行動で定義し、短いサイクルでフィードバックする方法を提案しています。

そのような方法を提案している背景には、筆者が(現)マーサー・ジャパン(株)にて人事コンサルティングに従事するようになる前に、プラウドフット・ジャパン(株)にて業務改革のコンサルティングに従事しており、業績向上に向けて週次の短いサイクルでPDCAサイクルを回す活動が、人材育成のためにもいかに有益か、ということを痛感していたということがあります。業務改革プロフェッショナルと人材育成プロフェッショナルが一体化した世界のことを記しておきたかったのです。

目次は次の通りです。

Part1: 人材能力開発の動向

第1回:イントロダクション:人材能力開発の危機とチャンス
第2回:OJTとOff-JTの分離を克服する
第3回:費用対効果を社内説得するためのロジック

Part2: PDCAサイクルとは学びのサイクル

第4回:職場のPDCAサイクルを中心に学習活動を統合する
第5回:週次サイクルを学習サイクルに変える
第6回:こうすれば職場に週次学習を導入できる

Part3: 基本方針をまとめる

第7回:5W1Hで基本方針をまとめる
第8回:基本方針に推進力を組み込む
第9回:教育研修の破壊的イノベーション
第10回:原理原則に基づく論理的な仕事の仕方
第11回:能力開発はビジネスの仕組みそのもの

Part4: チェンジマネジメント

第12回:育成か採用か
第13回:チェンジエージェントの人材要件とは
第14回:チェンジエージェント養成研修

Part5: パイロットプロジェクト

第15回:営業部門パイロットプロジェクトのスタート
第16回:アルファ社が目指すコンサルティング営業が見えてきた
第17回:先手を打てる商品開発活動への転換
第18回:人と知識の融合のアーキテクト
第19回:ロードマップ作成は最も効果的な研修コンテンツ

Part6: 人材能力開発のミッション

第20回:新しいコミュニケーションインフラ - 社内SNSの導入
第21回:人材能力開発部門のミッションとは
第22回:実践に向けて

 


人材マネジメントの枠組みに関するメモ(過去ブログアーカイブ)

2006年から2009年にかけて、人材マネジメントに関する考えを継続的に綴ったブログを残してあるものです。

IT化・グローバル化を初めとする、ビジネスや企業社会の大きな変化の中で、人材マネジメントを専門にする者は何を論点とし、どのように考えを組み立て、何をどのように提案したらよいのか、ということを考えるために、『日経ビジネス』誌の記事の中から、人材マネジメントの観点から興味深いと思われた企業の取り組み事例を取り上げ、意義の整理と論点の掘り下げを試みる、ということを3年ほど継続したものです。

そうやって改めて気づいたことは、人材マネジメント論を含む「経営学」には統一の体系がない、ということで、議論したいことをどのように一つの体系の中に収めるか、ということが次のテーマとなりました。そして、バーナードが『経営者の役割』で初めて組織論を体系化したときの枠組みが今なお使える、という発見に至り、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』の執筆に至りました。つまり、ブログは体系を作る際のブレストのようなもので、実際、本を書く時には、ここで取り上げた論点をポストイットカードに書いて壁に張り出して体系を考える、というプロセスを踏みました。今でも、提案書を書く時などに、当ブログを検索してヒントを探すことがあります。

 


『実践Q&A 戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)(2000/4)
『図解 戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)(1999/2)

これらは、(現)マーサー・ジャパン(株)に在籍していた時代に、人事制度構築とその運用に焦点を当てて同僚と一緒に執筆した書籍です。

人材像を定義・表現するための「コンピテンシー」概念についての議論が厚くなっています。さすがに今となっては旧いものですが、人事制度構築の際に避けて通れない論点を整理したり、また、『実践Q&A 戦略人材マネジメント』は「職務型人事制度」を導入する際に必須となる「職務価値評価基準」を作成するために今でも参照することができます。