2019-08-21
  • データ主導の人材開発・組織開発

著作紹介

ここでは、代表の南雲が人事・組織コンサルティングのキャリアの中で、折に触れて執筆した書籍等を紹介させていただきます。仕事のテーマを「データに基づく人材開発・組織開発」に集約する前に執筆したものが多いのですが、広い意味では、「人事・組織の何を測定すべきか」という見地から、関係しています。

(近年「データに基づく人材開発・組織開発」に注力するようになってからは、お客様へのサービス提供にほとんどの時間を費やし、執筆の時間はほとんどとれなかったのですが、その中で折に触れて書いたコラム等は、本ウェブサイト内のコラムとして掲載しています。)

 

『多元的ネットワーク社会の組織と人事』(ファーストプレス)(2007/10)

それまでの人事・組織コンサルティング経験の中で考えてきたことを集約した単著です。

IT化・グローバル化の中で、企業組織の境界がなくなっていく中での人事・組織マネジメントのあり方を描こうとしたものです。

「多元的ネットワーク」というのは、「資本関係のネットワーク」「取引関係のネットワーク」「技術のネットワーク」「地縁のネットワーク」「ブランド・シンボルのネットワーク」等、異なる次元のネットワークが重なり合う中に、我々の活動が位置している、ということを言おうとしているものです。

「会社」という実体が希薄になる中での我々の活動をとらえるために、「共通目的」「コミュニケーション」「協働意欲」の3つが存在するところに組織は存在する、という、組織論の始祖バーナードの理論を援用し、人事・組織マネジメントの論点を体系づけようとしています。

もう一つ、「会社」という枠組みにとらわれない活動の体系づけのために、「情報システム構築のメソドロジー論」を援用しています。これは、著者が最初に社会に出て情報通信業界で働き始めた時に、社会システムとも言える大規模システム構築・運用のためには、全ての活動とその連関をシステマティックに定義する「メソドロジー」が必要である、ということが語られ始めており、それに強い影響を受けたことが関係しています。

本書では議論のテーマを広げるだけ広げており、「データに基づく人材開発・組織開発」ということは一部分で示唆しているにすぎず、また10年以上前の本で絶版になっていますが、中古では入手できますし、今でもまだ有効な議論だと思いますので、紹介させていただくものです。

(図表を抜粋した動画)

 

 

『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』(日本経済新聞出版社)(2009/3)

データに基づく人材開発・組織開発に注力し始めた頃に、当時の(株)HRアドバンテージのメンバーでまとめた共著です。

360度フィードバックを導入したい、あるいは運用を進化させたい、という人事部門/人材開発部門向けの実用書ですが、次の3点で、単なるハウツー本とは一線を画するものになっています。

  1. フィードバックの受け手にとってどのような意義があるのか、そのために運用上どのような点に留意したらいいのか、ということを、ストーリー仕立ても交えて、丁寧にわかりやすく説明しています。
  2. これからの人材育成のあるべき姿と、そこにおいて360度フィードバックが果たす意義について、人材育成のイノベーションという見地から、野心的な議論を行っています。
  3. 著名企業の導入事例を、人事部門様への詳細なインタビューを含めて、紹介しています。それにより、360度フィードバックの人事運営・組織運営の中における位置づけを、具体的にイメージいただけます。

 

 

『能力は現場で開発できる』(全21回)(日経ビジネスオンライン)(2007/12 – 2008/5)

日経ビジネスオンラインに連載した記事です。

ビジネスモデルの転換に合わせて人材能力を転換させるために何を行ったらよいか、ということを、仮想の会社におけるストーリーとして展開したものです。

従来の「教育研修」にも「OJT」にも限界がある中で、「現場を能力開発の場に変える」ために、「求められる人材像」を、週単位で測定できるような成果と行動で定義し、短いサイクルでフィードバックする、そのような方法を提案しています。

そのような方法を提案している背景には、筆者が人事コンサルティング業界に入る前に業務改善のコンサルティングに従事しており、週次の短いサイクルでPDCAサイクルを回す活動が、人材育成のためにもいかに有益か、ということを痛感していたということがあります。業務改善プロフェッショナルと人材育成プロフェッショナルが融合する世界を描きたかったのです。

ここでの議論は、上記の『チームを活性化し人材を育てる360度フィードバック』でも引用しています。

 

 

人材マネジメントの枠組みに関するメモ(過去ブログアーカイブ)

2006年から2009年にかけて、人材マネジメントに関する考えを継続的に綴ったブログを残してあるものです。

IT化・グローバル化を初めとする、ビジネスや企業社会の大きな変化の中で、人材マネジメントを専門にする者は何を論点とし、どのように考えを組み立て、何をどのように提案したらよいのか、ということを考えるために、『日経ビジネス』誌の記事の中から、人材マネジメントの観点から興味深いと思われた企業の取り組み事例を取り上げ、意義の整理と論点の掘り下げを試みる、ということを3年ほど継続したものです。

そうやって改めて気づいたことは、人材マネジメント論を含む「経営学」には統一の体系がない、ということで、議論したいことをどのように一つの体系の中に収めるか、ということが次のテーマとなりました。そして、バーナードが『経営者の役割』で初めて組織論を体系化したときの枠組みが今なお使える、という発見に至り、『多元的ネットワーク社会の組織と人事』の執筆に至りました。つまり、ブログは体系を作る際のブレストのようなもので、実際、本を書く時には、ここで取り上げた論点をポストイットカードに書いて壁に張り出して体系を考える、というプロセスを踏みました。

今でも、提案書を書く時などに、当ブログを検索してネタを探すことがあります。

 

 

『実践Q&A 戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)(2000/4)
『図解 戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)(1999/2)

これらは、(現)マーサー・ジャパンに在籍していた時代に、人事制度構築とその運用に焦点を当てて同僚と一緒に執筆した書籍です。

人材像を定義・表現するための「コンピテンシー」概念についての議論が厚くなっています。さすがに今となっては旧いものですが、人事制度構築の際に避けて通れない論点を整理したり、また、『実践Q&A 戦略人材マネジメント』は「職務型人事制度」を導入する際に必須となる「職務価値評価基準」を作成するために今でも参照することができます。