• データ主導の人材開発・組織開発

サービス例

「データ主導の人材開発・組織開発」においては、特に次の点が実務上重要なポイントとなります。

  1. 人事・組織運営カレンダーへの組み込み
  2. アンケート設問の設計
  3. 回答者リストの作成
  4. アンケート実施の委託先選定
  5. フィードバック手順の設計と運用
  6. 継続的なデータ分析と、得られた知見の共有・蓄積

これらの一つ一つについて、次の状態が実現できるよう、半蔵門オフィスではご支援します。

 

1.人事・組織運営カレンダーへの組み込み

データの活用目的を定め、他の様々な活動、すなわち「教育研修」「面談」「昇格・異動・配置検討」「組織運営の振り返りと問題解決」「来期経営計画策定」といった活動と関連づけ、人事運用・組織運営カレンダーの中に確実に組み込む必要があります。
多くの場合、年度の半ばで振り返りを行うタイミングに合わせてデータの収集・フィードバックを行うことで、今年度の人事・組織運営の改善に向けても、来期の施策の方向づけと準備に向けても、最大の効果が得られるでしょう。そのためには、準備の段階から、日単位で綿密にスケジュールを組まなければなりません。

 

2.設問の設計

アンケートに基づいて現状の測定とフィードバックデータの作成を行う場合、設問の良し悪しがフィードバックの効果性を左右します。「ここに書かれていることは我々のあるべき姿そのものである」と組織メンバーが心から思える設問項目が準備されていれば、アンケートに回答する時点で早くも、組織メンバーは多大な気付きが得られます。結果に基づく話し合いも真剣味を帯び、フィードバックを受ける者には真剣な反省が促されます。
そのような設問を設計するためには、自組織のあるべき姿を、メンバーが共有する記憶や意識に遡って言語化するとともに、それをモレダブリなく概念整理することが必要となります。過去のアンケート結果があれば、その結果を因子分析やテキストマイニングといった手法で統計分析することによって、メンバーが心に抱く共通のイメージや概念を抽出することができます。

 

3.360度評価における回答者リストの作成

うまく運用できさえすれば、人材開発・組織開発のために360度評価ほど優れたツールはありませんが、運用の最大の難関は回答者リストの作成にあります。
現場に負担をかけることなく人事部門/事務局側で精度の高い回答者リストを作成し、人事カレンダーに従い360度評価の実施時期になったら、回答者に回答案内を発する、ということが大切なのです。しかし、回答者リストは時に膨大なものになりえます。評価対象者が1000人いて、評価対象者一人あたり10人に回答してもらうとしたら、1万件のリストを作成することになるのです。それを手作業で行うとしたら、人事部門/事務局にとって大変な負担となってしまいます。
しかし、組織図と社員名簿があれば、対象者にとって身近な人10名を選ぶことは、ルールを決めて機械的に行うことができるものです。よってそれを自動化/プログラム化することが必要です。

 

4.アンケート実施の委託先選定

360度評価や社員意識調査等のアンケート調査を行う場合、アンケートの実施そのものは外部機関に委託することが望ましいと言えます。社内のイントラネット等で行った場合にはアンケートの匿名性が確保できなくなり、率直な回答が得られにくくなるからです。アンケートは匿名で行い集計結果のみを利用する、という姿勢を維持することが望ましいでしょう。
よって、外部委託先の選定が大きなテーマとなります。「自社の設問による自社のアンケート」として運用できるか、「情報セキュリティ」が確保されているか、といった点が選定の大きなポイントとなります。

 

5.フィードバック手順の設計と運用

対象者個人別(360度評価)に、あるいは職場別(社員意識調査)に、アンケート結果を集計し、フィードバック用のレポート帳票としてまとめ、フィードバックします。気づきの効果を大きくするために、管理職個人のレポートと職場のレポートとを組み合わせてフィードバックすることも効果的です。
レポートの中に、全体傾向と比較しての特徴等、様々な分析・診断結果を交えることもできますが、フィードバック対象者に主体的にデータの解釈に取り組んでもらうためにも、まずはシンプルな内容でよいでしょう。「どう答えた人が何人いたか」がわかるようになっていれば、それだけでもよいのです。
フィードバックの手順としては、「レポートを届ける方法(配信か、手渡しか)」「結果解釈の仕方の周知徹底方法」「自らレポートを読み込んで検討する機会の設け方」「上司やチームメンバー等、関係者と話し合う機会の設け方」「アフターフォローの仕方」を考える必要があります。
いったん人事・組織運営の中に根付いたあとは、放っておいてもアンケート結果の配信が楽しみに待ち望まれ、結果レポートが面談やチームミーティングの中で活用されるようになりますが、それまでは、「趣旨をeLearningで周知する」「個別の面談をしながら理解を確認する」「研修で時間をとって話し合う」といったことが望ましく、こういった丁寧なフォローがないと、結果は何ら活用されることなくしまい込まれてしまうことにもなりがちです。

 

6.継続的なデータ分析と、得られた知見の共有・蓄積

こちらの小論『HRテック時代の360度評価データの活かし方』で述べさせていただいているように、個別のフィードバックとは別に、データを集合データとして集計・分析することで、人や組織の状態、属性別の傾向、パフォーマンス向上の鍵について、様々な知見が得られます。
得られた知見については、経営幹部や経営企画部門、人事部門で共有し、十分な議論を行うとともに、データとして蓄積し、経年的な変化を追っていくことで、さらに有意義なデータとなります。