360度評価/フィードバックを行う上で大きな課題になるのが「評価者選定」である。対象が500人の管理職であるとすれば、それぞれ10人に評価してもらうとすれば5000通りの評価関係を設定しなければならないのだ。かなり大事であることが想像できると思う。
評価者選定の方法には、大きく以下の3つの方法があるが、それぞれ一長一短となる。
1. 事務局側で予め選定する
2. 上司等が選定する
3. 本人が選定する
ハイブリッドの方法もある。事務局側であらかじめ選定した上で上司や本人が調整する等。人事評価者・被評価者のリストを管理している場合には、上司や部下についてはしっかりとあらかじめ設定できる。残りを本人や上司にお願いする等。
とはいえ、できるだけ事務局側であらかじめ選定しておきたい。というのも:
1. 参加者の皆さまの負荷は最小化したい。何しろ社員の皆さんにとっては360度評価への参加は「本業」ではない。評価の依頼が飛んできたら「サクッ」と評価し、結果閲覧・フィードバックの案内が飛んできたら「サッ」と開いて「グッ」と受け止める、これだけにしたい。
2. 余計な忖度や評価の率直さへの疑念を交える隙を生まないようにしたい。「誰に評価してもらおうかなあ・・・」と考える中で、その隙が生まれうる。
さて、事務局側で選定するといっても、対象者が30名くらいならともかく、数百名以上の単位で全社規模で行う場合には、手作業で選定するというのは事実上不可能である。そこでプログラムによる選定が必須となる。そして、組織図や指揮命令系統がしっかりしている場合には、組織情報を基に誰と誰が業務上近い関係にあるかということを判定することができるので、それに基づく選定が可能となる。
ただし、プロジェクト的な仕事の進め方が多い組織の場合には、誰と誰がメンバーとして連携しているかということは文書化されていない場合も多く、難易度は高くなる。そこで社内コミュニケーションインフラから抽出するという方法があるが、プライバシー保護上の限界・ハードルがある。Slack等の社内コミュニケーションツールからメンションしている関係を抜き出す、ということであれば、既に可視化されている関係の抽出であり、問題ないだろう。
ここでは基本となる、組織図と指揮命令系統に基づいて、プログラムで選定するロジックについて解説する。次の図のとおりとなる。

さらに細かいロジックとしては、次のようなロジックをプログラムに埋め込むことになる。

さらに詳しくはお問い合わせいただければと思うが、今のAIの性能を持ってすれば、上の図をAIに見せればプログラムを組んでくれるかもしれない。だが、本当に大変なのはプログラムに仕込む前の組織情報の整理だったりはする(兼務や出向はマスタ上どう管理されていますか・・・等々)。だからサービスベンダー側としてはなかなか見積りが難しく、どこまで精度を追い求めるかというゴール設定も(いくらでも細かくルール設定して追い込んでいけたりはするので)難しかったりする。だからなかなか提案メニューには載せにくかったりはする。だから評価者選定プログラムの運用は、組織管理の一環として自社内で行うことが望ましく、それができれば、360度フィードバックは強い人材・組織マネジメントのインフラになる。
(私は、360度評価フィードバックを、日本企業の組織マネジメントインフラとして定着させるのがよい、と考えているが、この評価者選定のハードルを超えなければ真の定着化は難しいとも考えている。だからあえてこうやって公開させていただいた次第である。)