• データ主導の人材開発・組織開発

散布図の効果的な活用法と作成法(Excel)

ビジネス、特に判断・意思決定を支援する場面では、取組み課題を絞り込むために、2軸(X軸 × Y軸)の評価軸をよく使いますよね。戦略論では、「利益率 × 成長率」の2軸で事業ポートフォリオを作るというものが代表的ですし、人材マネジメントでは、「業績 × ポテンシャル」の2軸で人材ポートフォリオを作る、というものが代表的です。

なぜ2軸の評価軸が重宝されるかというと、次の理由で、判断・意思決定の支援において「丁度いい」からだと言えるでしょう。

  1. 1つの軸で決めつけて提示するのではなく、複数軸を用意することで、意思決定者の主体性を担保できる。
  2. 2軸で平面空間に可視化することで、選択のプロセスやロジックを示し、共有することができる。

要は、2つの変数(評価視点)で商品や人材の散布図を作る、ということです。

そして、その散布図は、金額やスコアなどの数値で作るのではなく、「ランキング」すなわち「順位」で作ることが実用的です。なぜなら、散布図を使う目的は課題の絞り込みであり、そこでは「順序」こそが本質的な情報であり、「間隔」はそれほど重要性をもたないからです。何より、順序で散布図を作ることにより、視認性が圧倒的によくなります。

(まだ世の中で十分な議論がなされているとは言えない)360度フィードバックの結果レポートでも同じことが言えます。組織としての人材活用の課題や、個人としての行動変革の方向性を考察いただくために、2軸の散布図で結果を整理することを、私はお勧めしています。組織長向けのレポートや、対象者個人向けレポートで用いることが効果的な、散布図の例を下に示しています。(その趣旨については、私の書籍『データ主導の人材開発・組織開発およびその本の各章のQRコードからアクセスできるウェビナー動画、または“こちら”でも説明しています。)(なお、人材マップの方は偏差値によるランキングを軸にとっています。偏差値を使う理由は“こちら”。)

このようなマトリクスを自在にExcelで生成するために、ちょっと前までは、ちょっと凝ったツールを自作する必要がありましたが、2020年から使い始めることができるようになったExcelの新関数、Filter関数、Sort関数、Transpose関数を用いることで、作成が圧倒的に簡単になりました。
いわゆる「スピル機能」を用いる「動的配列関数」という呼ばれる分野の関数で、これらの関数によって、Excel上でのデータ分析が圧倒的に楽になりましたが、ランキングに基づく散布図作成、というのもその一つです。
組織や人材のマネジメントにおけるデータの活用を志される方で、これらExcelの新関数をまだ使っておられない方は、ぜひ使っていきましょう。組織データや人事データの見方からして変わりますよ!